旧暦ホテル ―古くて新しい暦と暮らす―

2018年立春からスタート。旧暦と共に、「大人の本気の『ごっこ遊び』を通じ、ホテルで過ごすような快適な日々を追い求めていきます。

皐月の旅行記(皐月分の「旧暦ホテル」まとめ)

梅雨空の下、妻と子どもと旅行に来てみた。

娘が1歳と小さいので、自宅から1時間程度の近場旅行だが。

 

2年前にジューンブライドで式を挙げた、12歳年下の妻。

ハッキリした性格でちょっと怖い。

結婚前はクールな印象だったのが

最近「冷たい」に変わりつつある。

 

自分が荷物を全て持ち、妻が子どもを抱っこしホテルの中へ。

ロビーには紫陽花が飾られていた。

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小さな物でも、こういう物が置いてあると

気持ちもなごむ。

 

チェックインカウンターに行くと絵手紙が置いてある。

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夏らしいさわやかなミョウガの絵と

あたたかいメッセージが書いてある。

 

「お部屋は3階でございます。どうぞこちらへ」

着物を着た女性が荷物を持ってくれエレベーターへ誘導してくれた。

 

部屋は3階の真ん中辺り。

扉を開けると玄関スペースがあり、靴が脱げるようになっている。

これなら1歳の娘も走り回れそうだ。

 

鮮やかな青い花がリビングスペースに飾ってあった。

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「リシアンサスというお花なんですよ」

女性が紹介してくれる。

妻のイメージによく合った花だなぁと感じた。

花を見る自分とは対照的に、妻は娘をおろして荷ほどきの準備に入った。 

 

あらかじめ、子どもに必要なグッズを揃えてもらった部屋で

娘のオムツを換えた後、レンタルのベビーカーに娘を乗せて

お土産を買いに1階へ降りる。

 

妻が土産を選んでいる最中

コンシェルジュが若いご夫婦と談笑しているのが目に入った。

 

いいなぁ。自分たちにもこういう時期があったのに。

 

なんとなく、聞くとは無しに聞いていると

ご夫婦ではなくカップルで

これから両家の顔合わせ等でこのホテルを使いたい、という話だった。

 

その頃の自分たちを思い出してみると

あの2人のように、一緒に準備した事が少ない事に気付いた。

 

両家の顔合わせの会場も、食事の手配も

記念品に関しても

自分はノータッチだった。

 

仕方ない、仕事だったんだ。

 

結婚式はどうだっただろう。

そうだ、彼女の希望を叶える為に、自分は口出ししなかった。

式の会場から日程、ドレスや食事

全て彼女が決めた。

女性のハレの日なんだから、全て彼女が決めるのが一番いい。

 

新婚旅行で行ったフィンランド

自分が行きたいと言い出した場所なのに

準備や手続きは妻が全部やってくれたんだったな。

 

仕方ない、仕事だったんだ。

 

よくよく思い出すと、何もかも妻に丸投げで

自分は何もしていない。

しかも出産前は、妻もフルタイムで働いていたのに。

自分と全く変わらない状況だったのに

準備のため奔走してくれている彼女に甘えていたのだ。

 

今もそうだ。

「出来る事はやるよ」と言いつつ

自信の無いことには手を出していない自分に気付く。

 

育休中の妻も、もう少ししたら職場復帰が待っている。

今のように丸投げし続けたらどうなるか。

冷たい妻、と言ってられる状況では済まなくなるかもしれない。

 

コンシェルジュの女性と楽しそうに話す二人を見ていて

ちょっと背筋が凍る思いがした。

このままではいけない。

 

一旦部屋に帰って夕食会場へと向かう。

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アジの南蛮漬け!妻が好物なのだ。

「ママ、アジの南蛮漬けだよ。好きだったよね」

「・・・そうね。揚げるの面倒だから外でしか食べないけど。

こういう所で好きな物が出ると嬉しいわね。

それにしても、パパがそんな事私に言うなんて

珍しい事もあるのね」

ニコリとも笑わず答える。

 

そうか、最近こういうちょっとした事も

妻には伝えてなかったな。

自分の頭の中に浮かぶだけでは、何もしていないのと一緒だ。

これからは小さな事も伝えていきたいと思った。

 

娘の寝かしつけ。

いつもは妻がやるのだが、今日は自分がやることにした。

私が絵本を読みだすと、娘は「ママ~!」と泣き喚いたが

すぐに妻が来てくれて、結局は2人で寝かしつけることになった。

娘はご満悦で眠りについた。

 

娘が寝た後

「最近、・・・いや、前から色々ごめん。

自分に言い訳しながら、ママのこと手伝ってこなかった」

ポツリと言うと、妻は厳しい顔で

「ほら!『手伝い』じゃないの!

手伝うっていうことは、やった所で

『私が主にやって、あなたはちょっと手出しするだけ』ってことでしょう?

そうじゃなくて、二人で一緒に協力し合いながらやるの!」

 

そうか、意識レベルでこれだけ違ったんだなぁ。

自分は「手伝ってあげる」という意識だったけど

妻が求めているのは「一緒に生活を作る」事だったのだ。

 

コンシェルジュと話していたカップルの事を紹介し

今までの事も色々、自分が気付けた範囲で話し、謝り

 

「これからも色々と、至らない事がたくさんあると思うけど

何とか頑張っていきたい・・・と思ってて

そりゃあ、急には変われないと思うけど

・・・自分なりに努力するので、よろしくお願いします」

 

とペコッと頭を下げると、妻は

「何その自信の無さ!」

苦笑つきで返してくれた。久しぶりの笑顔だった。

 

朝食はこちら。ルームサービスで持ってきて頂いた。

 

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プリンが出た。

密かに好物なのだが、妻はきっと気付いてないだろうなぁ・・・

「あら、プリン。パパ好きよね?プリン」

・・・バレていた。

「なんで分かったの?」

「だって、家でもプリン食べる時、全然顔が違うもの。

嬉しそうなの丸わかり!」

妻がニッコリ笑ってくれた。結婚前の笑顔だった。

 

こんな笑顔をもっと見たい。

すぐには変われないかもしれないけれど

娘が大きくなった時に、パパ自慢をしてもらえるような

そんな父親、夫になりたいと思った。

 

そして、チェックインカウンターで見た、あの絵手紙のように

「あなたがいてくれて よかった」

そう言ってもらえる日が実現するように頑張ろうと思った。

 

 

今月の妄想旅行記でした(笑)

今回は子どもさんの小さいご家族。

まあなかなかこんな風に、「ごめんね改めるよ」とはなりませんが

(男女、夫婦、友人問わず(笑))

こういう風に気付けるきっかけになる旅行があるといいな、と。

 

絵手紙:snowさん

リシアンサス:ラビットさん

カップル:紺さん

ロビー

新月モーニング

満月御膳:じゅん

 

でした。

 

地震や水害ですさまじいことになった

怒涛の皐月も今日で終わり。

水無月は平和に暮らせますように。

そして、被災地の皆様が一刻も早く

涼しい屋内でゆっくり休めますように。