旧暦ホテル ―古くて新しい暦と暮らす―

2018年立春からスタート。旧暦と共に、「大人の本気の『ごっこ遊び』を通じ、ホテルで過ごすような快適な日々を追い求めていきます。

師走のまとめ旅行記(師走の旧暦ホテルまとめ)

たまには家族でゆっくりしたいと

夫と子どもたちと一緒に旅行に来た。

子どもと言っても二人とも女子大生。

親と旅行に行くとなると、少し面倒そうな顔を見せたが

上の娘が4月から社会人になるため

もうゆっくり家族旅行なんて

なかなか行けないよ〜と説き伏せ

最期の家族旅行のつもりでやってきた。

 

泊まるホテルは「旧暦ホテル」という、ちょっと変わった名前の宿。

2月のこの時期だというのに

ネット予約をしたら、そのすぐ後に満室の表示が出た。

こんな時期に何故?

 

ロビーでチェックイン手続きをする。

2019と描かれたイヤープレートが飾られていた。

 

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もう新しい年になってひと月が経ったのね。

この年になるとひと月、特に1月なんてあっという間だわ。

なんて思いながら、夫が手続きを済ませてくれるのを待っていた。

 

着物の女性が私たちの荷物が乗ったワゴンを押して現れた。

「お部屋へご案内いたしますね」

そうして連れていかれたのは5階の角部屋だった。

「ご主人様と奥様はこちらのお部屋でございます。

お嬢様方お二人は、そのお隣のお部屋へどうぞ。

まずはこちらからご案内致します」

私たち夫婦の部屋から見るらしい。

 

ホテルの部屋なのに、扉を開けると玄関だった。

可愛い生花が飾ってある。

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「可愛い!」下の娘が思わず声をあげた。

 

リビング部分と寝室に分かれた部屋で、随分広い。

ベッドも自宅の物よりも随分豪華だ。

自宅ではお互いのベッドは離して置いてあるのだが

「ハリウッドツイン」というのだろうか?

セミダブルのベッドが2台、くっついて並んでいる。

 

大方の部屋の説明が終わり、次は娘たちの部屋を見に行く。

こちらは何とも春らしい部屋だった。

こちらのベッドは離れて置いてあり、天蓋付きのゴージャスな物。

ソファーに置いてあるクッションも、明るい色合いの花柄だ。

「実はこちらのお部屋、昨日模様替えしたんですよ」

着物の女性がにっこり笑って言った。

「へ〜。なんかラッキーだね」

娘二人は嬉しそうに顔を見合わせた。

 

「実は今日、旧暦では大晦日、明日が旧暦のお正月なんです。

ですから本日は夕食の後にお夜食として、

年越しそばをご提供致します」

え?今日が大晦日

「詳しくは、こちらに置いてありますリーフレットをご覧下さいませ」

そう言い残して女性は去っていった。

 

部屋の中にあったリーフレットによると

この宿は「太陰太陽暦」という暦をモチーフにしているとの事で

娘が持っていた手帳の今日のページには

確かに「旧暦十二月三十日」

明日のページには「旧暦一月一日」と書いてある。

 

「へ〜。明日がお正月なんて面白いね」

「ついこの間お正月だったのに変な気分」

娘たちは笑いながら言いつつ、私のベッドこっちね!と

それぞれがベッドに飛び込んでいた。

 

各自荷ほどきをし、夕食まで自由時間とした。

私はネット予約しておいたスパへ向かう。

 

スパへ行くと女性スタッフが待っていてくれた。

お風呂に入って体をあたためてからスタートだ。

あずきの良い香りのする物を肩に乗せつつ

「かっさ」で頭皮のマッサージをしてくれる。

 

「この時期はまだ寒いので、肩や首の筋肉が固まりやすいんです。

ゆっくりほぐしていきますね 」

スタッフの女性が優しく教えてくれた。

 

施術後は「福茶」というものを頂いた。

年の数だけ豆が入ったお茶で、日本茶の種類が数種類から選べたので

私は番茶で頂くことにした。

体も心もほっこりした。 

 

スパの施術が終わり

体がすっかり軽くなったところで部屋に一度戻ると

娘たちが映画のDVDを持って隣の部屋から出てきた。

「下のライブラリで貸し出ししてたよ。返してくる。

    お母さんたちも夜に観たら?」

「そうだ、違う映画を夜は借りて

   そっちの部屋で4人で映画観ようよ。大晦日だし(笑)」

そうだった。今日は旧暦大晦日

夜更かしして、家族で紅白歌合戦の代わりに映画もいいかもしれない。

 

夫はどうやら庭を散策中らしく、いつ戻るかはわからないので

一度部屋でゆっくりコロコロする事にした。

 

ベッドに横になって、部屋のリーフレットを見る。

今日は二十四節気に始まりの「立春」そして大晦日だそうだ。

毎年そうなのかと思いきや、そうではないそうで

立春の日にちはある程度同じでも、旧正月の日付は変わるらしい。

ふーん、と思いながら、スパの余韻もあって眠ってしまった。

 

「母さん、夕食の時間だよ」

夫が起こしてくれて気付き

慌てて用意をして、最上階のレストランへ行った。

 

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ヘルシーで美味しそう!

夜食で出るお蕎麦のために、少し少なめになっているのかしら。

 

お部屋へ戻る時に

娘たちが「ライブラリに行ってくる」と1階へ降りた。

私と夫は先に部屋へ戻っていると

「借りてきたよ!」と1本の映画のDVDを出してきた。

 

「あ、それ!あなたたちが小さい時に4人で観に行った映画よね?」

「そうそう!あの時お父さん、途中で寝ちゃったよね〜?」

「え?そうかな?」

「お父さん、今日は寝ずに最後まで観られる?」

 

ワイワイと4人で楽しく話すなんて、最近のうちには無かった光景だ。

するとそこへ電話が鳴った。

お蕎麦を持っていっても良いかという確認だったので、お願いした。

 

お茶を用意しDVDをセットして少し待っていると

部屋のチャイムが鳴り、お蕎麦が運ばれてきた。

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いよいよお蕎麦を頂きながらの映画鑑賞会がスタートだ。

 

美味しいお蕎麦をいただきながら、映画を観て

娘たちが小さかった頃の思い出話に花が咲く。

最近こんな時間も無く、毎日が慌ただしく事務的に流れていたので

こういう風なひと時を作れるなんて、思いもよらなかった。

 

夫は案の定、お蕎麦を食べた後にソファーで寝入ってしまったが

私と娘たちは楽しく最後まで映画を鑑賞し

娘たちは自分たちの部屋へと帰っていった。

 

「お父さん、映画、終わったわよ」

「・・・ん?ああ、面白かったね」

観てないくせに(笑)

 

夫をお風呂へ追いやり、私は歯を磨く。

スパでお風呂に入ったので、今日はもうこのまま眠れるのだ。

 

「母さん、旧暦大晦日、いいねぇ」

バスルームから夫が話しかけてくる。

「普通の大晦日と違って、うちだけ、ここだけ特別っていう感じで」

「本当にね。すごく素敵。

   こういう時間を皆さん持ちたくて、今日は満室なのかもね」

 

ご存知の方なら、これは大晦日宿泊で毎年リピートしたくなるなと納得。

私も早速来年も来れたら来たいと思っているくらいだ。

今日がこんなに特別な日になるとは考えてもいなかった。

 

翌朝、朝食会場へ娘たちと一緒に向かう。

洋食と和食が選べた。私は洋食にした。

 

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イギリスのパンケーキ、クランペット というものが出てきた。

ふわふわモチモチとした食感で美味しい。

夫は和朝食。

お節、とまではいかないが旧正月を意識した朝食が提供された。

 

いよいよチェックアウトの時間。

1階へ降りると常連さんらしき年配のお客様と

コンシェルジュの女性が話していた。

「睦月様、今回のご滞在は如何でしたか?」

聞くとはなしに聞いていると、どうもお孫さんが泊まりにいらした時に

お祖父様、お祖母様のために宿泊予約をしてくれたそうで

「孫も大変喜んでました。紺さんありがとう」

男性がおっしゃっていた。

 

来年の旧暦大晦日はいつなのかしら。

いつから予約ができるのかしら。

あのご夫妻とのお話が終わったら

コンシェルジュの方に早速聞いてみようと思った。

もしも休日と重なったら

社会人になった娘も一緒に来られるかもしれない。

来年に向けて楽しみが増えた。

 

 

 

師走の妄想旅行記、終了です!

いやあ〜完走です!びっくり(笑)

途中被災して書けなかった月もありましたが

完走とさせて下さい(笑)

 

お花:ラビットさん

スパ:ayuさん

コンシェルジュ:紺さん

ロビー、夕食、蕎麦、朝食:じゅん

 

でした。

 

1年間ありがとうございました。

明日以降、改めてご挨拶致します