旧暦ホテル ―古くて新しい暦と暮らす―

2018年立春からスタート。旧暦と共に、「大人の本気の『ごっこ遊び』を通じ、ホテルで過ごすような快適な日々を追い求めていきます。

神無月のまとめ旅行記(神無月の「旧暦ホテル」まとめ)

いい夫婦の日」に夫と喧嘩をした。

内容は本当に下らない事。それについてちょっと拗ねてみせたら

夫はその態度が頭にきたらしい。

そこからまともに喋ってくれなくなった。

 

「ママ?パパと喧嘩したの?」と5歳の娘にまで気付かれる始末。

これは困った、ということで

仲直りのために家族旅行に行くことにした。

 

行先は「旧暦ホテル」という、ちょっと変わった宿だ。

車を降りて荷物を下ろす。

ロビーに行くと今の時期に合うディスプレイがあった。

 

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「ママ、まつぼっくり!白いよ!パパもほら!」

不穏な空気を察してか、娘が気遣う。

・・・ごめんよ、娘。

 

ロビーでチェックインを済ませつつ、ウェルカムティーを頂く。

気まずい空気の中、夫は私とは目を合わせない。

いつ切り出したものか・・・

 

着物の女性が荷物を持ってくれて、部屋まで案内してくれた。

4階の部屋は、扉を開けると玄関があり

そこで靴を脱ぐようになっている。

 

低いダブルベッドが2つ、くっついて置いてある寝室と

素敵な庭が見える広いリビングが続いている。

リビングにはお花が活けてある。

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いい夫婦の日にちなんで薔薇を飾ってあります。

ダズンローズという習慣がございまして・・・」

着物の女性がにこやかに説明してくれたのだが

喧嘩当日の事を持ち出されて、夫婦ともに顔がこわばっている。

 

その空気に気付いたのか、女性は

「ダズンローズについては

宜しければリーフレットをご用意しておりますので

そちらを是非ご覧くださいませ」

と言って、そのリーフレットを娘に渡し、部屋を後にした。

 

「ママ、これ読んで!」

娘がリーフレットを持ってきたが、荷ほどきがあったので

「分かった。でも先に荷物を出さなきゃいけないから

ちょっと待っててね。パパと遊んでおいで」

そして娘は夫と一緒にライブラリへ行くために部屋を出た。

 

荷ほどきを済ませ、身支度を整え、一人でお茶を飲む。

こんなに静かな時間はいつぶりだろう。

娘が産まれてから、一人でゆっくり過ごす事が本当に無かった。

こんな時間を持てる事を思えば

喧嘩してても旅行に来て良かったと感じた。

 

しばらくして夕食の時間が近くなったので

娘と夫が部屋に戻ってきた。

 

「あのね、さっき下にいたおねーさんがくれたの」

 

黒い画用紙を娘が差し出した。

 

「雪が見られるんだって!ママとパパと雪、見たいなぁ~」

 

何のことやらさっぱり分からず夫を見るが

黙ったままの夫は教えてくれない。

とりあえず3人で夕食会場へと向かった。

 

夕食は和食だった。

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「ママ、お魚美味しいね!これなぁに?」

「鯖の味噌煮だって。気に入ったのなら今度お家でも作ろうね」

「うん!」

娘との会話にも入ってこない夫。

・・・気まずい。

 

夕食会場を出て部屋に戻り、夫と娘がお風呂に入った。

その間に、着物の女性が紹介してくれた

ダズンローズについてのリーフレットを読む。

 

結婚式で行うダズンローズ。

バージンロードの通路側のゲストから1本ずつ薔薇を受け取り

新郎が12本の薔薇をブーケにする。

新郎はブーケを新婦に渡しながら誓いの言葉を述べ

ブーケを受け取った新婦はその中の1本を取り出し

新郎の胸元のポケットに飾る。

 

・・・って、これ私たちが結婚式でやった演出!

びっくりした。

 

その時ちょうど娘が先にお風呂からあがった。

着替えの手伝いに慌てて行く。

びっくりしたまま、娘の体を拭いてパジャマを着せる。

そうだった。結婚してすぐに娘を授かり

こんな日々が続いていたことで

結婚式でやった演出なんて、きれいさっぱり吹っ飛んでいた。

 

夫が出てきたのでバトンタッチしてお風呂へ。

湯船につかりながら、結婚前の事や結婚式の事を思い出していた。

 

娘が寝た後、意を決して夫に話しかけた。

「あのね、さっきスタッフの女性が言ってた『ダズンローズ』なんだけど」

リーフレットを渡しながら、ぼそぼそと続ける。

「結婚式で私たちがやった演出だった・・・」

 

リーフレットを見た夫も、びっくりした顔をしている。

 

「この間はごめんね。下らない事で拗ねて。

あれは拗ねたフリだったの。

ちょっと構ってほしかったのかもしれない。

拗ねずにちゃんと話せば良かったのに。本当にごめんね」

 

話している内に何だか泣けてきて、ボロボロと涙がこぼれた。

 

「・・・いや、こっちこそごめん。

あの時は腹が立ったけど、よく考えたら前からそういう事してたよね。

結婚前とか出産前はよく、拗ねたら俺の方から構ってたのに

ここ数年はそういう事もしてなかったなって、後から気付いたんだ」

 

そして、ダズンローズのリーフレットを二人で見ながら

ぽつぽつと結婚式の準備や当日の思い出話をした。

リーフレットの裏には・・・ん?黒い画用紙?

 

「ああ、これか。ロビーでコンシェルジュの女性に貰ったんだ。

雪が降ったらこの上に乗せて、雪の結晶を見るといいよって。

あの子が雪の本を見てたからくれたみたい」

 

よく「雪の降る日に産まれたんだよ」と娘に話しているので

娘は雪が大好き。

話を聞くと、ロビーでコンシェルジュの女性に画用紙を貰った際も

「お誕生日に雪の結晶を、パパとママと一緒に見るね!」と

大きな声で宣言してたらしい。

 

「今度のあの子の誕生日には、3人で雪の結晶を見ようね」

泣きながら笑ったので変な顔になったが

夫はいつも通りニカッと笑ってくれた。

 

翌朝、朝食会場へ行く。

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甘いチーズケーキがしみわたるほど美味しかった。

「このケーキ、優しい甘さで美味しいわね」

「ほんとだ。今度家でもチーズケーキ作ってよ」

夫との何気ない会話が嬉しい。

娘も何かに気付いた様子で嬉しそうだ。

 

また是非来たいと思えたホテル。

今度は喧嘩してない状態で来ようねと夫と笑った。

 

 

神無月の妄想旅行記でした(笑)

今回は若いご夫婦と娘さんの3人家族にしてみました。

 

薔薇:ラビットさん

雪:紺さん

夕食、朝食、ロビー:じゅん

 

でした。

まとめ旅行記もあと2回。

楽しく色々想像したいと思います^^

 

今月もありがとうございました。

来月もよろしくお願い致します。