旧暦ホテル ―古くて新しい暦と暮らす―

2018年立春からスタート。旧暦と共に、「大人の本気の『ごっこ遊び』を通じ、ホテルで過ごすような快適な日々を追い求めていきます。

弥生の旅行記(弥生分の「旧暦ホテル」まとめ)

世間はゴールデンウィークだというのに

私は何をしてるんだろう。

 

実家に帰省したものの

母からの「誰かいい人いないの?」攻撃に耐えられず

理由をでっち上げて、昨日、一人暮らしの家に戻ってきた。

もしも「いい人」がいてたなら、

ゴールデンウィークに実家にいないわ、きっと。

 

朝から一人でぼーっとテレビを見ながらお茶を飲んでいたら

宅配が届いた。

差出人の名前を見てドキッとした。

「いい人」になって欲しかった人だったからだ。

 

箱を開けるとオイルに浸かったお花が。

メッセージカードが同封されていて、読んでみると

「仕事で立ち寄ったホテルで、立夏さんをイメージして作りました」

 

旅先で想ってもらえた事に、胸が熱くなる。

 

箱を見ると「旧暦ホテル」と書いてある。

気になって調べたら、今日は空室があるらしい。

ゴールデンウィーク前半に仕事に行ったので

明日は休みを取っていたのも幸いした。

私は早速ネット予約をして電車に飛び乗った。

 

駅に迎えに来てくれた車に乗り、つつじの中を走る。

つつじももうすぐ終わるなぁ。

今年は早かったなぁ。

そんな事をぼんやり思っていた。

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ホテルのチェックインカウンターで名前を書くと

「あ!」と小さく声があがった。

見ると着物の女性の方で、妙に嬉しそうな顔をしている。

 

「・・・?何か?」

「あの、浮草秋路様のお知り合いの方でいらっしゃいますよね?

実は、あのハーバリウムとメッセージカードを送らせて頂いた者です。

旧暦ホテルの支配人、じゅんと申します。

この度はお越し頂き、まことにありがとうございます。」

 

浮草さんとこの人は会ったんだ!

「浮草さん、元気そうでしたか?」

「はい。お元気でいらっしゃいましたが・・・。

お会いになっていらっしゃらないんですか?」

「実は、以前何度かお食事させて頂いた方なんですが

お互い仕事が忙しくて、それ以降なかなかお会いできなくて。

何とかメールのやりとりは続いているんですけど

実際に会う事が難しくて。遠方に住んでるっていうのもハードルで」

 

実は、浮草さんとは婚活をしていて知り合った。

少なくとも私は、彼に好意を抱いており

彼からの私に対する感じもまあまあだと思うのだが

数回のランチとディナーを経ても、具体的なお付き合いの話も出ず

なかなか会えない内にメールのやり取りの回数も減り・・・。

 

「浮草様がハーバリウムを作られている最中

側で拝見しておりましたが

一生懸命作られてましたよ。

何やら考えては選び、入れては考え、という感じで。」

 

メッセージ通り、私の事を思い浮かべながら作ってくれたのかな。

そう考えると、何となく浮草さんの近くにいる感覚になれた。

 

「では、お部屋へ参りましょうか」

 

案内された部屋は4階の一室。

扉を開けると靴を脱いで部屋に上がるように、広い玄関があった。

 

部屋の玄関ホールには、青い美しい花が。

 

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側には麦わら帽子が飾ってあり、この時期の雰囲気を醸し出している。

玄関に麦わら帽子なんて、子どもの頃の実家みたい。

ホッコリしつつも、昨日実家から怒って帰ってしまった娘としては

ちょっとだけ胸が痛んだ。

 

お風呂に入ってリラックス。

お風呂の窓からは広がる庭が見える。

新緑の色もだんだん濃くなってきてるんだなぁ。

自宅でぼんやり過ごしているだけでは気付かない事に

気付ける自分が面白かった。

 

夕食は筍とワカメの「若竹煮」が出た。

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ワカメはこの時期が旬らしい。

また、クレソンの炒め物も写真を撮った後に提供された。

クレソンって家ではなかなか食べないけど、美味しい。

今度見つけたら、買って作ってみたいなぁ。

 

部屋に帰ってリビングスペースから

マッサージチェアに座って外を眺める。

一人旅いいな。

こうして自分の事をゆっくり考えられる時間は、最高の贅沢だ。

テレビもあるが、電源をつけたいという気分にはならなかった。

ライブラリーで借りたジャズのCDを流しながら

マッサージチェアに身を委ねていた。

 

翌日。スッキリ目覚めた私は朝食会場へと向かった。

 

 

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蒜山高原の食材がいくつか使われているという。

これから段々と夏に向かう中、高原に行くのもいいかもしれない。

 

1階に降りると、今日は絵手紙教室があるとのことで

試しに行ってみる事にした。

 

先生は優しそうな、でもちょっと慣れない感じの方。

側にいるコンシェルジュのネームプレートがついた方が

ちょこちょこと動き回って補佐していた。

 

先生も一緒に絵手紙を描いていた。

 

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素敵!

こういう絵をサラッと描けるとプレゼントにいいなぁ。

私は怒って飛び出た実家の母に、カーネーションの絵手紙を

そして浮草さんに、ハーバリウムの絵手紙を描くことにした。

 

先生が出されたお題「カーネーション」とは違うものの

先生は嫌な顔一つせず、とっても丁寧に教えて下さり

私は、届けられたハーバリウムを思い出し、一生懸命描き

「いつか一緒に」とメッセージを付け加えた。

 

「浮草様宛てにお届け致しましょうか?」

コンシェルジュの女性が声をかけてくれた。

「どうして分かるんですか?」

と尋ねると、微笑みながらこう答えた。

「そのハーバリウムには見覚えがあるんです」

 

絵手紙を入れる封筒を一緒に選んでもらった。

浮草さんをイメージした、ちょっと落ち着いた色合いの封筒だ。

「いつか一緒に」なんて、面と向かって言うのはまだ無理。

でも絵手紙なら勇気を出せた。

 

下の名前で呼ぶのが気恥ずかしく

浮草さん、といつも呼んでしまってるけど

次に会う時は「秋路さん」と呼んでみよう。

いつの日か一緒に旧暦ホテルに来られるように

勇気を出して彼と、そして自分と向き合っていきたい。

 

今月の妄想旅行記でした(笑)

紺さんの業務日誌の立夏さんをどうしても出したくて。

きっと紺さんの中のお二人の関係性とは随分違うと思いますが

こんな感じはどうかな~と思って書いてみました。

 

花:ラビットさん

クレソン:櫻井もえさん

ハーバリウム:紺さん

絵手紙:snowさん

新月モーニング

満月御膳

つつじ:じゅん

 

でした。

こぱんださんの桃の節供の取り組みをご紹介できず残念!

申し訳ありません。

(スタッフの仕事カテゴリーでご覧いただけます)

 

明日は春の振り返りをします。