睦月の旅行記(睦月分の「旧暦ホテル」まとめ)
家族で旅行に行く事にした。妻が行ってみたいホテルがあるらしい。
名前は「旧暦ホテル」。一風変わった宿のようだ。
駐車場に到着すると、小学生の息子と保育園に通う娘が
車から降りた途端にはしゃぎ回る。
そう言えば2人、特に娘には「ほぼ初めて」の「旅行」ではないか?
赤ん坊の頃に連れて行った事はあるが
あの時は息子は4歳、娘は1歳。覚えているはずもない。
普段、家族で自宅を離れるのは、帰省時くらいだ。
「お待ちしておりました」
突然着物の女性に挨拶をされる。
「ようこそお越しくださいました。どうぞこちらへ・・・」
案内され、ロビーへと向かった。
玄関ロビーにはガラスの雛人形。
おや?3月3日は過ぎてるはずだが・・・。
当ホテルではその日まで雛人形を飾る予定です」
ウェルカムドリンクを頂きながら、教えてもらったが
「旧暦ですか?」
「そうです。当ホテルは外の流れとは少し違う
『旧暦』を楽しむ場所です。
ご興味がおありでしたら、お部屋に冊子をご用意致しておりますので
どうぞご覧くださいませ」
・・・何だかよく分からないが、妻は満足げに聞いているので
それで良しとしておく。
「お子さま向けの絵本もライブラリにございますので
是非ご家族様でご覧ください」
着物の女性はそう続ける。よし、あとで二人を連れて行ってみよう。
妻をフロントのソファーに残し、カウンターへ向かうと
カウンターには絵手紙が置いてあった。
「・・・?『キレイな水が好き』・・・?」
「こちらはクレソンを描いた絵手紙です。
二十四節気に合わせて、専属の絵手紙作家より納品がございまして。
季節を変えてお越し頂くと、違った絵手紙をお楽しみ頂けますので是非」
「旧暦」に「二十四節気」とは。
聞いたことはあるけれど、馴染みのない単語に困惑する。
だが、妻がここに来てから
普段の二割増しで機嫌よく過ごしているので良しとしておく。
家族そろって部屋へと案内してもらう。
部屋は3階。和モダンな部屋だ。大きな低いダブルベッドが2つ。
並んで眠れるように、ベッドをくっつけてくれている。
これなら余裕で4人で眠れるだろう。
普段自宅では布団を敷いて寝ているので
子どもたちはベッドで飛び跳ねて大はしゃぎ。
「あ!パパ!色鉛筆があるよ!」
「ほんとだ!すごく綺麗~!!」
子どもたちが見つけた色鉛筆。隣にはこんなリーフレットがある。
1階の「コヨミアメニティ」で売っているらしい。
子どもたち用のお土産に良いかもしれない。
リーフレットと色鉛筆の隣には、生花が飾られていた。
「綺麗ね!やっぱり生のお花はいいわ~」
妻が思わず歓声をあげている。
・・・来て良かった。
その後、私と子ども二人はライブラリへ
妻は「旧暦スパ」へ行くことになった。
娘は「ママと行きたいー!」と少しごねたが
絵本があると聞いて、ライブラリに行くことにしたらしい。
ライブラリに行くと先客が。女の子連れのご家族だ。
軽く会釈をして、子どもたちを見る。
二人は楽しげに絵本コーナーに向かっていき
女の子が読んでいた本を読みたそうに
もじもじと、女の子が読んでいる様子を見ている。
女の子は読み終わった様子で、二人に本を貸してくれた。
うちの子たちは二人で読み始めたが、女の子が後ろで見ている。
余程面白かったのだろう。
3人が仲良く本を読んでいる間、ライブラリに併設されているラウンジで
コーヒーを飲みながら新聞を読む。
そろそろ妻のスパが終わる頃だ。
子どもを連れて部屋に戻ると、スッキリした顔の妻がご機嫌に
「すっごく良かったの『旧暦スパ』!最初にこんなお茶を頂いてねえ・・・」
スパがいかに気持ちよかったかを聞いている内に夕食の時間に。
化粧をし直した妻と子どもたちと、レストランへ向かう。
レストランでは春の味覚、菜の花とハマグリのお吸い物が。
お腹もいっぱいになり、部屋へ戻り風呂へ入る。
普段は遅くてなかなか入れないが
今日は子どもたちと一緒に風呂に入る。
浴槽も広く、3人で入っても大丈夫だ。
妻はスパで入浴してきたらしく、化粧を落として横になっている。
翌朝。
朝食を食べにレストランへ。
「うわぁ!すごい!!」
「ホットケーキだぁ!」
子どもたちはおおはしゃぎだ。
パパあれとって、ママこれつけてと必死になって食べ始める。
しばらくして、怪獣のごとく食べていた子どもたちも落ち着き部屋へ。
荷造りをする前に、少し休憩したい。朝風呂もいいなぁ。
チェックアウトの時間になった。
1階のロビーへ行くと、昨日とは別の着物の女性が
何やら飲み物を持ってきてくれた。
「ホットアップルサイダーです。
今月は旧暦睦月、一月ですので、お屠蘇の代わりに作りました。
もちろんノンアルコール、お子様にも召し上がって頂けますよ」
家族で顔を見合わせて飲むと・・・
温かいリンゴジュースに、ジンジャーとシナモンの香りが良い。
「美味しい!」
二人も気に入った様子だ。
そこへ昨日のライブラリで出会った女の子ご一家もやってきた。
「あ、なずなちゃん!」
子どもたちが駆け寄り、ロビーで話し始めた。
親御さんに会釈だけして、フロントのカウンターへ行った。
昨日の着物の女性がいる。
「お楽しみ頂けましたでしょうか?是非またお越し下さいね」
妻は「もう是非!」と満面の笑顔で返事をする。
・・・本当に来て良かった。
コヨミアメニティで色鉛筆も購入し、車に乗り込む。
「パパ、楽しかった?」
娘が後部座席から話しかける。
「うん。楽しかったよ。また来ようね」
そしてアクセルを踏んで家路についた。
・・・長~い妄想旅行記、お読みいただきありがとうございました。
今回は男性目線でご家族様の旅行記にしてみました。
なずなちゃんにお友達ができるといいな、と思って。
今回の旅行記内の取り組みを改めてご紹介いたします。(敬称略)
・クレソン絵手紙(snow)
・色鉛筆(めぐりな)
・チューリップ(ラビット)
・絵本紹介(紺)
・旧暦スパ(ayu)
・お吸い物(櫻井もえ)
・ホットアップルサイダー(やっこ)
・ひな人形
・満月御膳
・来客もてなしミニミニパンケーキ(じゅん)
ストーリーの都合上、ご紹介できなかった取り組みもありましたが
ご容赦ください。
旧暦如月も楽しく参りましょう!